ハルアトスの姫君―君の始まり―
しばらくして、辺りが一瞬暗くなる。一度目を閉じて開けるとそこには観たこともないような景色が広がっていた。
「…ヴィトックスに…ちょっとだけ似てる…。」
森の中に点々と木造の家がある。まるでシュリの家のような。
その一つの家にジョアンナを見つける。
「…さすがに入れない…よね…?」
そう思ってドアに触れると、すっと通り抜ける右手の指先。
―――通り抜けた、こんなに簡単に。
躊躇う気持ちもあったが、ジョアンナに近付かないことには何も分からない。それに今ここがどこなのかすら分かっていないのだ。
指先から順に、腕、頭と壁を通り抜けていく。身体の全てが部屋の中に入ると目の前にはジョアンナが、そしてその隣には見たこともない男性がいた。焦げ茶色の短い髪が無造作に外にはね、無精ひげを生やした野性味溢れる男の人だ。記憶を辿ってもこんな人は知らない。
ふと、壁に掛けられたカレンダーを見つめた。その西暦に驚愕する。
「っ…ハルアトス紀1760年…?今から251年前…。」
ハルアトス城でのキースとジョアンナのやり取りが思い出される。
金の瞳には時を超える力があると言っていた。つまりは…
「…あたし、過去に来てるんだ。
それも、ジョアンナの過去に。」
理屈は分からない。そもそもどうしてここにいるのかすら曖昧で、どうやったら帰れるのかも分からない。
魔力をキースに封印してもらったらしいが、だとしてもそれが自分の能力を制御し、尚且つ使いこなせるまでには至っていないのは明白だ。
「…やっぱり俺がなんとかするしかねぇな。戦いなんて、あっちゃならねぇ。」
「…ヴィトックスに…ちょっとだけ似てる…。」
森の中に点々と木造の家がある。まるでシュリの家のような。
その一つの家にジョアンナを見つける。
「…さすがに入れない…よね…?」
そう思ってドアに触れると、すっと通り抜ける右手の指先。
―――通り抜けた、こんなに簡単に。
躊躇う気持ちもあったが、ジョアンナに近付かないことには何も分からない。それに今ここがどこなのかすら分かっていないのだ。
指先から順に、腕、頭と壁を通り抜けていく。身体の全てが部屋の中に入ると目の前にはジョアンナが、そしてその隣には見たこともない男性がいた。焦げ茶色の短い髪が無造作に外にはね、無精ひげを生やした野性味溢れる男の人だ。記憶を辿ってもこんな人は知らない。
ふと、壁に掛けられたカレンダーを見つめた。その西暦に驚愕する。
「っ…ハルアトス紀1760年…?今から251年前…。」
ハルアトス城でのキースとジョアンナのやり取りが思い出される。
金の瞳には時を超える力があると言っていた。つまりは…
「…あたし、過去に来てるんだ。
それも、ジョアンナの過去に。」
理屈は分からない。そもそもどうしてここにいるのかすら曖昧で、どうやったら帰れるのかも分からない。
魔力をキースに封印してもらったらしいが、だとしてもそれが自分の能力を制御し、尚且つ使いこなせるまでには至っていないのは明白だ。
「…やっぱり俺がなんとかするしかねぇな。戦いなんて、あっちゃならねぇ。」