ハルアトスの姫君―君の始まり―
ドアを通り抜けると、ベッドに腰掛け、頭を抱えるヴィステンがいた。
「…そんな声で呼ぶな…。」
苦しそうに落ちた言葉に、思わず目頭が熱くなる。ヴィステンの表情は見えないが、どんな表情を浮かべているかは容易に想像できる。
…きっと、あの日のキースの顔に似ているはずだ。
「それでしか…守れない…守りたいんだ…どうしても、お前を。」
「っ…。」
そこにあったのはただ純粋な〝想い〟だけだった。
それこそ、きっと誰も見てはいけない、〝二人だけの〟想い。
それ以上は見てはいけない気がして、部屋を離れる。そして階段を降りるとジョアンナが木の椅子に腰を下ろしていた。涙が一粒、テーブルに落ちた。
「…行かないで、って…言えない私が…きっと悪い…。」
まるであたしだ。
キースの背中を追い掛けずにいた、弱いあたしがそこにいた。
想いは同じで、ただ守りたかっただけなのだ。
ヴィステンはジョアンナの未来を、そしてジョアンナはヴィステンの未来を。描く先は二人の未来だった。
「同じ未来を…歩むはずだったのに…っ…。」
気がつくと、涙が両目から零れ落ちていた。
涙が落ちた先が淡く光り、その光が足元まで伸びてきて、その光の中に吸い込まれた。
「…そんな声で呼ぶな…。」
苦しそうに落ちた言葉に、思わず目頭が熱くなる。ヴィステンの表情は見えないが、どんな表情を浮かべているかは容易に想像できる。
…きっと、あの日のキースの顔に似ているはずだ。
「それでしか…守れない…守りたいんだ…どうしても、お前を。」
「っ…。」
そこにあったのはただ純粋な〝想い〟だけだった。
それこそ、きっと誰も見てはいけない、〝二人だけの〟想い。
それ以上は見てはいけない気がして、部屋を離れる。そして階段を降りるとジョアンナが木の椅子に腰を下ろしていた。涙が一粒、テーブルに落ちた。
「…行かないで、って…言えない私が…きっと悪い…。」
まるであたしだ。
キースの背中を追い掛けずにいた、弱いあたしがそこにいた。
想いは同じで、ただ守りたかっただけなのだ。
ヴィステンはジョアンナの未来を、そしてジョアンナはヴィステンの未来を。描く先は二人の未来だった。
「同じ未来を…歩むはずだったのに…っ…。」
気がつくと、涙が両目から零れ落ちていた。
涙が落ちた先が淡く光り、その光が足元まで伸びてきて、その光の中に吸い込まれた。