ハルアトスの姫君―君の始まり―
「気味悪いって思ってるんでしょ?」
「え?」
「いいわよ、こっちは慣れてるもの。両目の色が違うなんて、他の人から見たら気持ち悪いだけ…。」
牽制したかった。それがジアの正直な気持ちだった。
否定される前に自分で否定する。これはいつの間にか身についていたクセだ。
「綺麗な瞳だね。」
「え?」
あまりにも真っすぐに、そして曇りなく響いた声にジアは目を見開いた。
相変わらずキースは少しだけ微笑んでいる。
「気味悪くなんかない。気持ち悪いとも思わないよ。少なくとも俺は。
…とても綺麗だ。金の瞳も、銀の瞳も。」
あまりに優しい響きにジアの頬の赤みが増す。
何せ慣れていないのだ。今までこの瞳を最初から受け入れてくれた人間なんて、ほとんどと言っていいほどいない。
誰だって最初はこの目に戸惑い、一度は必ず『嫌悪』の表情を見せる。多かれ少なかれ。
なのに目の前の男は、一度も淀みを見せずにただそう素直に思ったかのように言葉を紡いだ。
その言葉は優しくジアの心を照らす。
「あ…ありがと…。」
照れたせいであまりはっきりとは言えなかったけれど、一応はキースの耳にも届いたらしい。
ジアがゆっくりと顔を上げると今までよりもずっと優しく微笑んだ顔がそこにあった。
「邪魔して悪いけど。」
「じゃっ…邪魔なんて言ってない!」
「あ、そう?そーは見えなかったんだけど。つーかお前らのことなんかどーでもよくて。
キース。」
「なに?」
「おれらは明日旅立つ。お前の看病はもうしてやれない。置き去りにするけど悪く思うなよな?」
「待ってよクロハ!」
ジアの鋭い声がクロハを止める。
「え?」
「いいわよ、こっちは慣れてるもの。両目の色が違うなんて、他の人から見たら気持ち悪いだけ…。」
牽制したかった。それがジアの正直な気持ちだった。
否定される前に自分で否定する。これはいつの間にか身についていたクセだ。
「綺麗な瞳だね。」
「え?」
あまりにも真っすぐに、そして曇りなく響いた声にジアは目を見開いた。
相変わらずキースは少しだけ微笑んでいる。
「気味悪くなんかない。気持ち悪いとも思わないよ。少なくとも俺は。
…とても綺麗だ。金の瞳も、銀の瞳も。」
あまりに優しい響きにジアの頬の赤みが増す。
何せ慣れていないのだ。今までこの瞳を最初から受け入れてくれた人間なんて、ほとんどと言っていいほどいない。
誰だって最初はこの目に戸惑い、一度は必ず『嫌悪』の表情を見せる。多かれ少なかれ。
なのに目の前の男は、一度も淀みを見せずにただそう素直に思ったかのように言葉を紡いだ。
その言葉は優しくジアの心を照らす。
「あ…ありがと…。」
照れたせいであまりはっきりとは言えなかったけれど、一応はキースの耳にも届いたらしい。
ジアがゆっくりと顔を上げると今までよりもずっと優しく微笑んだ顔がそこにあった。
「邪魔して悪いけど。」
「じゃっ…邪魔なんて言ってない!」
「あ、そう?そーは見えなかったんだけど。つーかお前らのことなんかどーでもよくて。
キース。」
「なに?」
「おれらは明日旅立つ。お前の看病はもうしてやれない。置き去りにするけど悪く思うなよな?」
「待ってよクロハ!」
ジアの鋭い声がクロハを止める。