ハルアトスの姫君―君の始まり―
「…どういうこと…?」
「もう少し落ち着いたら、ハルアトスを離れようと思ってる。」
「え…?」
〝離れる〟という言葉に胸がざわつく。でも、もう今のキースの瞳は決めてしまった〝瞳〟だ。
「でもそれは帰ってくるために、だよ。
弱い自分とさよならをするために、一度離れる。でも戻ってくる。」
「本当に…?」
「ジアに嘘はつかない。もう二度と、絶対に。
…こんなことを言うのは卑怯かもしれないけど、待っていてほしい。
ジアだから、待っていてほしい。必ず戻ってくる。
君の傍らに立って生きていきたいと思うから。」
ここまで言われては、嫌ともダメとも言えない。…そんなことを言うのはあたしのプライドが許さない。ならば…
「…じゃあ、あたしはあたしのできることをする。
キースが、シュリが、シャリアスが…もっとたくさんの人が生きやすい世界を作る。
あたしが…この国を、世界を守る。これから、命ある限りは。」
いつかあたしにこの国は託される。
ならばこのくらいの心構えでいなくては、様々なものに押し潰されてしまうだろう。
「ジア、君はきっとここから始まるんだ。
呪いは解けた。君が君らしく君であるために生きる。
…君の始まりにこうして立ち会えたことは、俺の生きる糧になる。」
「…キースも始める、でしょう?
そのための別れなら、あたしはきちんと受け入れる。」
「そうだね。じゃあ一緒に始めようか。」
こつんと額が重なった。思わず笑みが零れる。
別れは終わりじゃない、君と始めるために、君との未来のために必要なものだから。
始まりのための別れを、惜しんでいる暇はない。
「帰ってきたら、伝えたいことがある。
…言えなかった言葉をちゃんと君に伝えるから。」
キースはそう言い残して城を去った。
「もう少し落ち着いたら、ハルアトスを離れようと思ってる。」
「え…?」
〝離れる〟という言葉に胸がざわつく。でも、もう今のキースの瞳は決めてしまった〝瞳〟だ。
「でもそれは帰ってくるために、だよ。
弱い自分とさよならをするために、一度離れる。でも戻ってくる。」
「本当に…?」
「ジアに嘘はつかない。もう二度と、絶対に。
…こんなことを言うのは卑怯かもしれないけど、待っていてほしい。
ジアだから、待っていてほしい。必ず戻ってくる。
君の傍らに立って生きていきたいと思うから。」
ここまで言われては、嫌ともダメとも言えない。…そんなことを言うのはあたしのプライドが許さない。ならば…
「…じゃあ、あたしはあたしのできることをする。
キースが、シュリが、シャリアスが…もっとたくさんの人が生きやすい世界を作る。
あたしが…この国を、世界を守る。これから、命ある限りは。」
いつかあたしにこの国は託される。
ならばこのくらいの心構えでいなくては、様々なものに押し潰されてしまうだろう。
「ジア、君はきっとここから始まるんだ。
呪いは解けた。君が君らしく君であるために生きる。
…君の始まりにこうして立ち会えたことは、俺の生きる糧になる。」
「…キースも始める、でしょう?
そのための別れなら、あたしはきちんと受け入れる。」
「そうだね。じゃあ一緒に始めようか。」
こつんと額が重なった。思わず笑みが零れる。
別れは終わりじゃない、君と始めるために、君との未来のために必要なものだから。
始まりのための別れを、惜しんでいる暇はない。
「帰ってきたら、伝えたいことがある。
…言えなかった言葉をちゃんと君に伝えるから。」
キースはそう言い残して城を去った。