ハルアトスの姫君―君の始まり―
番外編
共に眠る、幸せを
キースにとって好きだと口にすることはとてもハードルの高いことだと今のジアには分かる。彼は心をなかなか他人には見せない。だからこそ一度見せた相手には、とびきり甘くなる。そんな彼を甘やかしてあげたいと今日は思うのに、身体が言うことをきいてくれないのだからもどかしい。
「…熱っ…。」
「熱、高いね。」
「…ごめんね、キース。」
「何が?」
本当はこんな状態になっている場合ではない。今日はとても大切な日なのだから。
「今日、キースの誕生日…なのにっ…。」
「なんだ、そんなこと。大丈夫だよ、俺はちゃんと幸せだから。」
予感はあった。熱が出そうな予感、そして長引きそうな。喉も何となく痛かったし、頭もぼんやりとしていた。それでもそんなことに負けていられないと無理をしたのがばかだった。よりにもよってキースの誕生日当日にこんな高熱を出すなんて。
「…ごめんなさい。」
「ちゃんと幸せだって、聞こえなかった?」
優しい笑みと、温かい手。キースは前から優しかったが、今はもっとずっと、比べ物にならないくらい優しくなった。ジアはまだ、この優しすぎるキースに免疫がない。
「…聞こえた…けど。」
「じゃあジアが気にすることは何もないよ。こうしていても、俺は幸せだ。」
キースの笑顔がこれ以上ジアの謝罪を望んでいないことは明白だった。
「…熱っ…。」
「熱、高いね。」
「…ごめんね、キース。」
「何が?」
本当はこんな状態になっている場合ではない。今日はとても大切な日なのだから。
「今日、キースの誕生日…なのにっ…。」
「なんだ、そんなこと。大丈夫だよ、俺はちゃんと幸せだから。」
予感はあった。熱が出そうな予感、そして長引きそうな。喉も何となく痛かったし、頭もぼんやりとしていた。それでもそんなことに負けていられないと無理をしたのがばかだった。よりにもよってキースの誕生日当日にこんな高熱を出すなんて。
「…ごめんなさい。」
「ちゃんと幸せだって、聞こえなかった?」
優しい笑みと、温かい手。キースは前から優しかったが、今はもっとずっと、比べ物にならないくらい優しくなった。ジアはまだ、この優しすぎるキースに免疫がない。
「…聞こえた…けど。」
「じゃあジアが気にすることは何もないよ。こうしていても、俺は幸せだ。」
キースの笑顔がこれ以上ジアの謝罪を望んでいないことは明白だった。