ハルアトスの姫君―君の始まり―
「あ、じゃあ光は?太陽を出すことはできるの?」
「…うーん…それは難しいかな。雲を出すことによって光を遮ることはできるけど。あ、でも、淡い光を出すことならできるよ。夜道の灯り程度の光なら。」
「…すごいね、キース。色んな魔法が使える。」
「使えないものも多いよ。それに『時』を司るジアの方がすごい、…というか、特殊だなと思うけど。」
確かに特殊であるという自覚はある。未だに完全に魔力を使いこなすことはできないけれど、それでも体内に流れる魔力の量や、時折無意識的に時間に関わる魔法を使ってしまうことを考えれば、特殊であると言うしかない。
「…ジア。」
「なぁに?」
「到着。」
「え?」
目の前に大きく、それでいて高い石碑がある。『長き眠りに安らかな風を』と彫られている。
「この場所は風が気持ちいいわね。」
「風の止むことはない土地だからね。」
さあっとジアの金の髪を駆け抜ける風が吹く。太陽の光を浴びて、風に靡いた金がより光輝いた。
「裏には名前も彫られているんだけどね、父の名前もルナの名前もあるよ、ほら。」
石碑の裏には凄まじい数の名が彫られていた。キースの指の先にルナの文字を見つけた。
「…ルナ・フォート。」
『…呼びましたか、お姫様。』
「え…?」
淡い桃色の髪が揺れる。大きな瞳がジアを捉えた。
「ま、…待って。どうして…。」
「ジア?」
石碑に手をつくと、ジアに見える『ルナ』の色合いが濃くなった。まるで、本当の人間がそこにいるように見えるほどに鮮明だ。
「あなた…が、ルナ?」
「ルナ…?」
桃色の髪が揺れ、肯定の意味を示す。
「ルナが…そこにいるの?」
「み、見える…なんでかわからないけど。キース…!」
ジアはキースの腕に触れた。ジアに触れられたキースは目を見開いた。
「…ルナ…。」
キースは言葉を失った。
「…うーん…それは難しいかな。雲を出すことによって光を遮ることはできるけど。あ、でも、淡い光を出すことならできるよ。夜道の灯り程度の光なら。」
「…すごいね、キース。色んな魔法が使える。」
「使えないものも多いよ。それに『時』を司るジアの方がすごい、…というか、特殊だなと思うけど。」
確かに特殊であるという自覚はある。未だに完全に魔力を使いこなすことはできないけれど、それでも体内に流れる魔力の量や、時折無意識的に時間に関わる魔法を使ってしまうことを考えれば、特殊であると言うしかない。
「…ジア。」
「なぁに?」
「到着。」
「え?」
目の前に大きく、それでいて高い石碑がある。『長き眠りに安らかな風を』と彫られている。
「この場所は風が気持ちいいわね。」
「風の止むことはない土地だからね。」
さあっとジアの金の髪を駆け抜ける風が吹く。太陽の光を浴びて、風に靡いた金がより光輝いた。
「裏には名前も彫られているんだけどね、父の名前もルナの名前もあるよ、ほら。」
石碑の裏には凄まじい数の名が彫られていた。キースの指の先にルナの文字を見つけた。
「…ルナ・フォート。」
『…呼びましたか、お姫様。』
「え…?」
淡い桃色の髪が揺れる。大きな瞳がジアを捉えた。
「ま、…待って。どうして…。」
「ジア?」
石碑に手をつくと、ジアに見える『ルナ』の色合いが濃くなった。まるで、本当の人間がそこにいるように見えるほどに鮮明だ。
「あなた…が、ルナ?」
「ルナ…?」
桃色の髪が揺れ、肯定の意味を示す。
「ルナが…そこにいるの?」
「み、見える…なんでかわからないけど。キース…!」
ジアはキースの腕に触れた。ジアに触れられたキースは目を見開いた。
「…ルナ…。」
キースは言葉を失った。