ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ジア…。」
切なげに名前を呼んだのはキースだった。
「あ、違うの違うの!別に大丈夫だし、ちゃんと理解してはいるんだけど…。」
「『感情がついていかない』んだろう?」
あまりにも簡単に見透かされていたことに動揺し、ジアの目が泳ぐ。
クロハは面白くなさそうに顔を歪めた。
「そもそも、お前のせいなんだからな。」
「うん。自覚してるよ。でも…言わずにいてもこうしてこの森を越えていく以上、絶対に出会うものだから。」
「だとしてもなぁ…。物事には順序ってもんが…。」
「クロハ。」
「んだよ?」
「あたしは大丈夫。あたしが…感情に揺さぶられてるのが良くないだけだから。」
「んなこと…。」
「冷静さを欠いて感情に流されるのは、『剣士』にとって命取りよ。
だから…大丈夫。ちゃんと割り切るから。」
「……。」
「キースのせいじゃないよ。教えてくれてありがとう。」
何か物言いたげなキースの言葉を振り切るように、ジアは歩みを進めた。先頭に立って。
「キース。」
「なに…かな?」
「氷の涙の情報に詳しい人は知らない?」
「…そうだね、心当たりはある。いるかどうかは分からないけど。」
「え?」
切なげに名前を呼んだのはキースだった。
「あ、違うの違うの!別に大丈夫だし、ちゃんと理解してはいるんだけど…。」
「『感情がついていかない』んだろう?」
あまりにも簡単に見透かされていたことに動揺し、ジアの目が泳ぐ。
クロハは面白くなさそうに顔を歪めた。
「そもそも、お前のせいなんだからな。」
「うん。自覚してるよ。でも…言わずにいてもこうしてこの森を越えていく以上、絶対に出会うものだから。」
「だとしてもなぁ…。物事には順序ってもんが…。」
「クロハ。」
「んだよ?」
「あたしは大丈夫。あたしが…感情に揺さぶられてるのが良くないだけだから。」
「んなこと…。」
「冷静さを欠いて感情に流されるのは、『剣士』にとって命取りよ。
だから…大丈夫。ちゃんと割り切るから。」
「……。」
「キースのせいじゃないよ。教えてくれてありがとう。」
何か物言いたげなキースの言葉を振り切るように、ジアは歩みを進めた。先頭に立って。
「キース。」
「なに…かな?」
「氷の涙の情報に詳しい人は知らない?」
「…そうだね、心当たりはある。いるかどうかは分からないけど。」
「え?」