ハルアトスの姫君―君の始まり―
「本当は分かるはずないのになぁ…。」

「え?」

「操作されてるから仕方ない…か。」


そう言いながらジアからゆっくりと離れるキース。
その右手は柄に触れている。


「おいキース!お前…。」

「ジア、クロハたちを護衛しながらさらに奥に進んでくれ。
俺も適当にまいてそっちに向かうから。」

「でもっ…。」

「…クロハに剣はない。だったら君が守るしかないだろう?」

「そうじゃなくて…こんなにたくさんいるのに…。」

「それなら大丈夫だから。…行って。」

「逃げられるだなんて思わないでくださいよ。」

「…っ…。」


そこに現れたのは30人ほどの兵士達だった。
どれも、ジアには「ヒト」に見える。
見た目だけなら今のジアには「ヒト」か「レスソルジャー」かなんて分からない。


指示を出しているのは…水色の短い髪をなびかせた細身の男。
表情の一切が消え去っていて、全くもって「ヒト」らしくない。
その男が冷たい表情のまま口を開いた。




「…消しましょうか。」


それが全ての合図だった。

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