ハルアトスの姫君―君の始まり―
足の力が完全に消え失せて、ジアはその場に座り込んだ。
ジアの剣からは血が僅かながらに滴り落ちる。
髪も同様だった。
ジアの目の前にまた影が落ちる。
すっと屈んだその影がキースのものだったと分かったのは、キースがジアの視線に合わせてくれたからだった。
「ジア…。」
それ以上キースが何も言えないのは、ジアの顔が憔悴しきっていたからだろう。
鏡なんて見ていないから自分が今どんな顔をしているかなんて、はっきりとは分からない。
それでも、顔色が悪いのだけは確かだと思った。
「クロハ、ミア。怪我はない?」
すっと立ち上がったキースは、隠れていたクロハとミアに声を掛ける。
「おれたちは大丈夫だ。」
「良かった。」
「それよりもお前…。」
「俺は大丈夫だよ。これは相手の『血』…、まぁ正確に言うと『血』ではないんだけど…。
俺の身体からの出血じゃないから。」
「…そうか。」
キースの言葉に、クロハは全てを納得したらしい。
敵が『ヒト』ではなく『レスソルジャー』だったということも。
ジアの手がわなわなと震える。
―――気付いてしまった。〝殺めてしまった〟ことで。
見ないようにしていた、〝真実〟に。
ジアの剣からは血が僅かながらに滴り落ちる。
髪も同様だった。
ジアの目の前にまた影が落ちる。
すっと屈んだその影がキースのものだったと分かったのは、キースがジアの視線に合わせてくれたからだった。
「ジア…。」
それ以上キースが何も言えないのは、ジアの顔が憔悴しきっていたからだろう。
鏡なんて見ていないから自分が今どんな顔をしているかなんて、はっきりとは分からない。
それでも、顔色が悪いのだけは確かだと思った。
「クロハ、ミア。怪我はない?」
すっと立ち上がったキースは、隠れていたクロハとミアに声を掛ける。
「おれたちは大丈夫だ。」
「良かった。」
「それよりもお前…。」
「俺は大丈夫だよ。これは相手の『血』…、まぁ正確に言うと『血』ではないんだけど…。
俺の身体からの出血じゃないから。」
「…そうか。」
キースの言葉に、クロハは全てを納得したらしい。
敵が『ヒト』ではなく『レスソルジャー』だったということも。
ジアの手がわなわなと震える。
―――気付いてしまった。〝殺めてしまった〟ことで。
見ないようにしていた、〝真実〟に。