ハルアトスの姫君―君の始まり―
自分の刃はヒトもレスソルジャーも関係なく『殺める』ということ。
でもそれは自分を『守る』ためだということ。


正当防衛に見えるけれどそれは違う、ということにも気付いてしまった。


正当防衛なんかじゃない。
もう『防衛』のレベルなんて越えてしまっている。
トドメをさすということはそういうことなのだ。


やらなきゃやられる。だからやった。それは防衛ではない。もはやただの殺しだ。
その事実が、そのような思考で動いた自分にジアは言葉に出来ないほど苦しくなった。
その苦しみは涙に変わる。ここで泣くのはずるい。そんなのは分かっていた。でも、一つ、また一つと零れ落ちていく涙に抗う術は今のジアには見つからない。










パチパチパチパチパチ…


無遠慮かつ軽やかな拍手が遠くから聞こえてくる。
その軽薄そうな足音は確実にこちらに近付いてくる。





「見事な腕前だ、キース・シャンドルド。
それにそこの娘も。」


赤紫色の肩を少し越える程度のストレートな髪。
そして濃い紫色の瞳をしたジアよりも小柄な女性がそう言った。

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