ハルアトスの姫君―君の始まり―
「ジアは…」
シュリの言葉に、今まさに顔を想い浮かべていただけあって少しだけ動揺した。
「ジアは…傷付くかもしれない。」
「何にですか?」
意図してることは分かっていたが、あえて知らないフリをした。
「第三者から聞くのと本人から聞くのでは違うと思うぞ。」
「そんなことはありませんよ。俺は特に大した存在じゃありません。」
「…冷めているな。」
「『ヒト』じゃありませんから。」
「そんなことを言ったら…私達のうちでワケなしの『ヒト』と言えるのはクロハだけだ。」
「…お気付きでしたか。」
「当たり前だ。ミア、あれもただの猫ではなかろう。そしてジアも…。」
「そう…ですね。」
「だからこそ、氷の涙か。」
「はい。」
…この人に死角はない。全てがお見通しなのだ。
読めないのは自分くらいなものだろうと、シュリの思考を見立てた。
さすがに名前は読まれていたのか、元々知られていたのか…。
「しばらくここにいろ。」
「何故ですか?」
「今はジアの精神が育つのを待たねばならぬだろう。あれでは運命を切り開けない。
あの子は…あの子の手で切り開かなくてはならない。進むべき道を、自分で。…何者も、介入は許されない。」
少しだけ俯いてその意に同意する。
見透かされていても不思議と嫌悪感に襲われることはなかった。
シュリの言葉に、今まさに顔を想い浮かべていただけあって少しだけ動揺した。
「ジアは…傷付くかもしれない。」
「何にですか?」
意図してることは分かっていたが、あえて知らないフリをした。
「第三者から聞くのと本人から聞くのでは違うと思うぞ。」
「そんなことはありませんよ。俺は特に大した存在じゃありません。」
「…冷めているな。」
「『ヒト』じゃありませんから。」
「そんなことを言ったら…私達のうちでワケなしの『ヒト』と言えるのはクロハだけだ。」
「…お気付きでしたか。」
「当たり前だ。ミア、あれもただの猫ではなかろう。そしてジアも…。」
「そう…ですね。」
「だからこそ、氷の涙か。」
「はい。」
…この人に死角はない。全てがお見通しなのだ。
読めないのは自分くらいなものだろうと、シュリの思考を見立てた。
さすがに名前は読まれていたのか、元々知られていたのか…。
「しばらくここにいろ。」
「何故ですか?」
「今はジアの精神が育つのを待たねばならぬだろう。あれでは運命を切り開けない。
あの子は…あの子の手で切り開かなくてはならない。進むべき道を、自分で。…何者も、介入は許されない。」
少しだけ俯いてその意に同意する。
見透かされていても不思議と嫌悪感に襲われることはなかった。