ハルアトスの姫君―君の始まり―
「シュリ…?」
「あ、いや…何でもない。」
窓から目を離し、自室の方へと進むシュリ。
部屋のリビングには読書に勤しむクロハとその肩に乗って同じく本をじっと見つめるミア。
読書の邪魔をしないように、そっと外に出た。
ヴィトックスは自然を身近に感じることのできる美しい村だ。
この短期間でいつの間にかヴィトックス内の散歩が好きになっていた。
シュリ以外、『イキモノ』の気配を感じないことだけが気になってはいるけれど、口にはしない。
…魔女狩りのせいだと、さすがのジアにも分かったからだ。
「答え、見つからない?」
「キース!」
優しく降ってきた声に何故だか胸が一度だけ大きく鳴った。
ジアはぱっと振り返る。
「シュリ様は素直じゃないことで有名だからね。」
「そうなの?」
「ジアに強くなってもらいたいんだよ、きっと。」
「…そう…だよね…。」
『強くなってもらいたい』ということは裏を返せば『今は強くない』ということだった。
それは剣士としてあってはならないことであり、使えないと暗に言われているような気がした。
そこまで思考が巡って、ようやくジアはキースに言わなくちゃと思っていたことに気が付いた。
「あ、えっと…キース…。」
「なに?」
「えっと…この間は…ごめん…なさい。」
キースはきょとんとした表情を浮かべている。
「あ、いや…何でもない。」
窓から目を離し、自室の方へと進むシュリ。
部屋のリビングには読書に勤しむクロハとその肩に乗って同じく本をじっと見つめるミア。
読書の邪魔をしないように、そっと外に出た。
ヴィトックスは自然を身近に感じることのできる美しい村だ。
この短期間でいつの間にかヴィトックス内の散歩が好きになっていた。
シュリ以外、『イキモノ』の気配を感じないことだけが気になってはいるけれど、口にはしない。
…魔女狩りのせいだと、さすがのジアにも分かったからだ。
「答え、見つからない?」
「キース!」
優しく降ってきた声に何故だか胸が一度だけ大きく鳴った。
ジアはぱっと振り返る。
「シュリ様は素直じゃないことで有名だからね。」
「そうなの?」
「ジアに強くなってもらいたいんだよ、きっと。」
「…そう…だよね…。」
『強くなってもらいたい』ということは裏を返せば『今は強くない』ということだった。
それは剣士としてあってはならないことであり、使えないと暗に言われているような気がした。
そこまで思考が巡って、ようやくジアはキースに言わなくちゃと思っていたことに気が付いた。
「あ、えっと…キース…。」
「なに?」
「えっと…この間は…ごめん…なさい。」
キースはきょとんとした表情を浮かべている。