ハルアトスの姫君―君の始まり―
【クロハside】


「…手掛かりがないからこうして聞きに来とるんじゃ…。」


心底がっかりしたようにそう言う老婆に同意するしか今はない。


「それ…もそーっすよね…。」

「何か情報が分かったら教えてくれ…また来る。」

「あ…はいっ。また…。」

「……。」

「にゃあ?」

「ミア…。」


…あの婆さん、普通の人間か?
でもまさか…この辺に魔女が住んでいるわけもねぇし。
全てが想像の範疇を越えない。確かな情報など何もない。
そうして思考を巡らせていると、ミアがすっと身体を寄せてきた。


「なんだよ?」

「にゃ…にゃあ。」

「余計なこと、考えるなってか?」

「にゃあ~。」


頷くミア。つまりは肯定の意を示している。
『イエス』か『ノー』
その二つしか、おれは読み取れない。少なくとも、『今』のミアからは。


「氷の涙…かぁ…。」


…これはジアに言ってみる価値はある。
確かに戦いが起こっていて危ねーけど…それでも。
『氷の涙』があれば、もしかしたら…。


「解けるかもしれねー…よな…。」


ミアが不安そうにおれを見上げた。

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