ハルアトスの姫君―君の始まり―
* * *
気配に敏感な方ではないジアでも寒気を感じるほど、妙な気配が森の中を漂っていた。
ヴィトックスの村の入り口とも呼べる場所でレスソルジャーたちと、水色の髪を少し風に靡かせた男の人が立っている。
不意に森を包んでいた結界が切れ、男が口を開いた。
「今日は一人なのかな?」
「あなたは…この前もレスソルジャーを連れていたわね。」
「覚えていてくれたなんて光栄ですよ、お姫様。」
「あたしは姫なんかじゃないわ。」
「キース・シャンドルドに守られてばかりの使えないお姫様ではありませんか。僕の言葉を否定できますか?」
「…っ…。」
痛いところをつかれたのは事実だった。
「それで、どうして今日は一人なのですか?」
「あたし一人で倒せるからよ。」
「随分強気な…。
そう言えば、お名前をお聞きしてなかったですね。伺ってもよろしいですか?」
「人に聞く前に自分から名乗るのが礼儀ってものでしょう?」
「これは手厳しいですね。大変失礼致しました。
僕はシャリアス・ウドリックと申します。」
「シャリアス…ウドリック…。」
「お見知りおきを。」
「会うのは今日で最後よ。」
ジアは鞘から剣を引き抜いた。
その剣先はただ真っすぐシャリアスに向けられている。
気配に敏感な方ではないジアでも寒気を感じるほど、妙な気配が森の中を漂っていた。
ヴィトックスの村の入り口とも呼べる場所でレスソルジャーたちと、水色の髪を少し風に靡かせた男の人が立っている。
不意に森を包んでいた結界が切れ、男が口を開いた。
「今日は一人なのかな?」
「あなたは…この前もレスソルジャーを連れていたわね。」
「覚えていてくれたなんて光栄ですよ、お姫様。」
「あたしは姫なんかじゃないわ。」
「キース・シャンドルドに守られてばかりの使えないお姫様ではありませんか。僕の言葉を否定できますか?」
「…っ…。」
痛いところをつかれたのは事実だった。
「それで、どうして今日は一人なのですか?」
「あたし一人で倒せるからよ。」
「随分強気な…。
そう言えば、お名前をお聞きしてなかったですね。伺ってもよろしいですか?」
「人に聞く前に自分から名乗るのが礼儀ってものでしょう?」
「これは手厳しいですね。大変失礼致しました。
僕はシャリアス・ウドリックと申します。」
「シャリアス…ウドリック…。」
「お見知りおきを。」
「会うのは今日で最後よ。」
ジアは鞘から剣を引き抜いた。
その剣先はただ真っすぐシャリアスに向けられている。