ツナガル。




「これで練習を終わります。ありがとうございました。」


「教室戻ろー」
「うん」


部活というのは、軟式テニス部で、私は一応前衛の中ではエース。
みんなに抜かされそうだけどね…。
頑張らなくちゃ…




「吏愛、着替え終わったなら帰ろ!」

奈津とは部活が違うから、部活の日はテニス部の子と帰っている。

「愛ちゃんたち、ごめんね。今日ちょっと用事あるから帰ってて!」
「分かった。じゃ、明日ね!」
「バイバイ」





…はあ…。
私なんか怒られるのかな…。
重い足どりで結城くんのいる音楽室に向かう。



~♪

綺麗なピアノの音が廊下に響く。
「上手…。」
私は吸い寄せられるようにして音楽室へ入った。


ガシャ



ピアノを弾いているのは結城くんだった。


「結城…くん?」

サッカー少年でいつもはしゃいでる結城くんが瞼を閉じてピアノを奏でていた。


私の声は聞こえてないようだった。

私は聞きほれて目を瞑って立っていた。



「…あ、吏愛ちゃん」
「あ、結城くん、ごめんね。凄い上手だったから…つい…」
「大丈夫。」
「ところで…なにか私やっちゃった…?怒られるんじゃな…きゃっ」

気が付くと結城くんが私を抱きしめていた。



「…ゆ、結城くん…?」
「しゃべんないで」

そう言って結城くんはもっと強く抱きしめた。

「く、苦しいよ…」


耳元で声がした。
「俺、さ…ずっと吏愛が好きだった…」

小さな声で囁いた。


ただでさえ飛び跳ねてる心臓が爆発しそうになった。


「結城くん、なに言ってるの…?」

「俺、高1から吏愛が好きだった。でも…もう高2の夏だよ。俺もう片思いは我慢できないや…。」



みんなにイケメンって言われて、スポーツはなんでもできて、勉強だってできる結城くんが、なんで…?
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