浮気彼氏はあたしの下僕〜フキゲン恋愛注意報
バックを持ってそのまま帰ろうとしたあたしの手は虎太に掴まれた。
「離してよ!」
「綾香、ごめん。傷つけてごめん」
謝罪の言葉だけで簡単に許せるほど、あたしは優しくない。
何度も掴まれた手を振り払って、ドアノブに手をかけた瞬間……
「きゃ……」
すごい勢いで肩を掴まれて、簡単に体は翻された。そしてドアに押し付けられて虎太に抱き締められた。
荒い息づかいと泣き声。虎太の肩越しからは、投げ捨てられた床に転がっている虎太の携帯が見えた。
「……離してよ……真奈美を抱いた手であたしを触らないで……!」