浮気彼氏はあたしの下僕〜フキゲン恋愛注意報
「シカトしてんじゃねーよ! いきなり拉致りやがって! いつかやるんじゃないか思ってたんだよ。この犯罪者! 早く外しなさいよ!」
真奈美はとにかく無事で元気のようだ。だけど虎太は目覚めない。目を閉じたまま動かなくて
「頭……打ちどころが悪かったんじゃ」
「俺はそんなへまはしないよ。簡単に殺っちゃったらつまんないでしょ?」
その言葉に真奈美の罵声がピタリと止まった。
「殺るって……まさか。いくらなんでも妹のあたしには手を出さないでしょ?」
大和くんはにっこり微笑むとコツコツと真奈美に近寄った。
「俺、真奈美のこと大嫌いなんだ。妹なんて思ったことない。ただのヤリマン、汚い女」
「――っ!」
いつも真奈美のことは嫌いだと言っていたけど、まさかここまで……
あたしは何も言えず、ただ二人のやりとりを見ているだけだった。