浮気彼氏はあたしの下僕〜フキゲン恋愛注意報
「イカれたクソ兄貴のことなんか信じるわけないじゃん。刺したフリだよ。バーカ」
「真奈美!」
大和くんは壁に叩きつけられズルズルと座り込んだ。虎太と真奈美を鋭い目付きで睨み付けると、ゆっくりと立ち上がった。
「薬のせいで、視界がぼやけてるんだろ? 俺達のとっさの演技さえ見抜けずに、ナイフを持った俺に応戦もできないなんて足もふらついてるな」
確かに。暗い部屋とは言え、あの冷静な大和くんが見抜けないなんて
そしてあっさりと虎太に壁に叩きつけられた。
薬は強力ではないけれど、確実に効いてる――!!
虎太の手で立ち上がったあたしはキッチンに備え付けられた包丁を手に取った。