浮気彼氏はあたしの下僕〜フキゲン恋愛注意報
そして大和くんに包丁を向ける。
「自首して」
「……」
「まだあたし達を傷つけようとするなら、正当防衛で大和くんを……」
両手でギュッと握り締めた包丁。大和くんはあたしを、慈しむような表情で見つめてくる。
「綾香ちゃんになら刺されても構わない。優しい君のことだから、一生俺のことを想い、忘れはしないでしょ」
どこまでも本気で、ある意味純粋で、
こんな状況なのに、あたしだけを見てくるその瞳は穏やかにさえ感じた。