致死量カカオ

ぱちぱちと瞬きを繰り返す私を見て、彼女はにかっと笑った。

綺麗な容姿には似合わないほど飾りっ気のない笑顔は、似合わないはずなのにとても似合っていて逆に余計に綺麗な人に私の目に映る。


「高城の彼女でしょ?覚えてないと思うけど前保健室私も一緒に行ったのよー」


あまりにもざっくりとした説明で一瞬意味が分からなかったけど、私の日本語よりもまだマシみたいでちょっと考えれば直ぐに意味が理解出来た。


えーっと。
この前の保健室。ああ、私が高城の目の前でリバースしたあの日か。記憶全くないけど。

あの時確かいつのまにか千恵子とか昭平もいたような気がする。あの時かな……?


この美人の前でもリバースしてたとか思うだけでいま吐きそうだ。もう吐きたい。寧ろ吐きたい。敢えて吐きたい。


いや、そんなことよりも。
何でこんなに気さくに話しかけてくるんだろう……。


今のこの平凡な彼女が気になるだけ?

別れた後、元恋人と友達になるなんてことのない、高城の唯一の女友達が。

何で?


「あ、私裕子っていうんだけど。高城とは一年の時に同じクラスで」

「あ、はい」

存じております、とは言わなかったけど。

こんな風に仲よくお友達になりましょう!みたいな雰囲気で話しかけられるとさすがにどうしていいのかわからないんですけど……。


「高城と付き合ってて大丈夫?なんか病気なんでしょ?」

「はあ」


何で知っているんだろう。
高城が、話をしたのかな。
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