致死量カカオ
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朝っぱらから今にも死にそうな顔してるけど、本当に大丈夫かよ。
相当気分が悪いのか、豊海は俺の声に気付かず保健室に向かっていく。
「昨日なんかしたんじゃないのー?」
「お前はほんと、マジで、邪魔」
裕子を見下すように睨み付けると、裕子はそんなこと気にすることもなく「こっわー」と笑うだけ。
本当にこいつ俺で遊んでいるとしか思えない。祐子だけじゃなく宮木も沢田も同じだけだけど。
「昨日一緒に帰ったんだろー?どうだった?」
宮木の言葉に思わず眉間に皺が寄る。
すごい惨事になったことはさすがに思い出してもちょっとへこみそうなくらいだ。
何が原因でああなったのかイマイチよく分からないしな……。
「えーと……豊海が途中で倒れて、家まで運んでやった」
「うわー想像を裏切らねえな!」
けたけたと笑う宮木。笑う気持ちは分からないでもないけど、俺にとっては笑えねえ。
鼻血は流すわ、吐くわ。意識がなくだらだらと吐き続ける豊海をそのまま放置するわけにもいかねえし。
とりあえず生徒手帳で家を調べて送っていったけど……さすがにアレはなんの羞恥プレイかと思う位に辛かったな。
思い出したくもない。
「……でも、まあ面白いな」
ぼそっと俺にしか聞こえない声で呟いてそのまま学校に向かって歩き始めた。