致死量カカオ
「でも複雑よねー。
豊美ちゃんってかわいいわけじゃないじゃん。悪いけど。かわいらしくはあるんだけどさー。
だけど今まで私含めて一緒に過ごしてきた彼女とは明らかに高城が違うんだもん。
何で?とは思うよねー」
そんなに違うこともないと思うんだけどなー。
裕子の言葉に首を傾げながら「ふーん」とだけ告げる。
何が違うか、と言われたら俺と言うよりも相手の問題のような気もするんだけど。
「お前らそもそも何で付き合ったわけ?成り行きにしてもなんかあるだろ」
「何も?」
俺が答えるよりも前に祐子があっけからんとした顔をしてそう告げた。
さすがに一週間とはいえ付き合っていた相手に「別に」と答えられるのって複雑なんですけど。
まあ、お互いにその程度の気持ちだったんだろうけど。
付き合った女と友達に戻るとか友達になるとか俺には一切考えられない中で、裕子だけが未だに友達という関係でいられるのはそれだけ付き合っていたという事実が俺らにとって言葉でしかないってことなんだろうな。
付き合っている間に何をしたかといわれると……。
一緒に帰ったくらいか。
それ以上何一つしてないし。っていうかそんな空気にもなりゃしねえ。
「今の感じでただ二人で行動してただけだったよね」
「その通りだな」
正直なんで付き合っていたのか分からない位だ。
それでも、俺にしてはそれなりに「彼氏」をしようとしてたんだけど。
というか今まで付き合ってきた女に対する態度と何ら変わらないくらいだと。