致死量カカオ
昭平は相変わらず私の目の前でチョコレートを口に放り込む。本当に遠慮がなさ過ぎて憎たらしい。
私も食べたいのに。
チョコレートをどれくらい好きかと言われるとおそらく昭平のチョコレート好きよりも大分大きいと思う。
そのくらいチョコレートが大好きなんだから。
ピーナッツが入っている物も、中にジャムが入っている物も、チョコレートドリンクも、クッキーも。
小さい頃はそれこそ毎日のように食べていたのに……。
「1つ食べるか?」
じっと見ていたから私が欲しいと思ったのか。
昭平が開けようと思ったそのチョコレートを私に差し出してきて、それを私は両手で受け止めた。
……食べたい。けど食べていいのだろうか。
チョコレートは好き。
だけど生憎私はチョコレートアレルギーらしい。こんなにも好きなのに、家では私に一粒のチョコレートでさえも与えてくれない。
好きなのに。
もう嫌いだったら楽だったのに。
それこそ高城のように。
「やめとく?」
昭平の言葉に顔を上げると、珍しく心配そうな顔をしているから、逆に何でもないようなことのように思えて「食べるし!」とぽいっと口の中にチョコレートを放り込んだ。
大量に食べなきゃ別に何てことないし!
口の中に一気に広がるチョコレートの甘い味に思わず頬が緩んだ。
「おいひい」
「アホ面」
うるせい。