致死量カカオ

昭平は相変わらず私の目の前でチョコレートを口に放り込む。本当に遠慮がなさ過ぎて憎たらしい。


私も食べたいのに。

チョコレートをどれくらい好きかと言われるとおそらく昭平のチョコレート好きよりも大分大きいと思う。


そのくらいチョコレートが大好きなんだから。

ピーナッツが入っている物も、中にジャムが入っている物も、チョコレートドリンクも、クッキーも。

小さい頃はそれこそ毎日のように食べていたのに……。


「1つ食べるか?」


じっと見ていたから私が欲しいと思ったのか。

昭平が開けようと思ったそのチョコレートを私に差し出してきて、それを私は両手で受け止めた。


……食べたい。けど食べていいのだろうか。


チョコレートは好き。

だけど生憎私はチョコレートアレルギーらしい。こんなにも好きなのに、家では私に一粒のチョコレートでさえも与えてくれない。


好きなのに。

もう嫌いだったら楽だったのに。


それこそ高城のように。


「やめとく?」


昭平の言葉に顔を上げると、珍しく心配そうな顔をしているから、逆に何でもないようなことのように思えて「食べるし!」とぽいっと口の中にチョコレートを放り込んだ。


大量に食べなきゃ別に何てことないし!

口の中に一気に広がるチョコレートの甘い味に思わず頬が緩んだ。


「おいひい」

「アホ面」


うるせい。
< 14 / 319 >

この作品をシェア

pagetop