致死量カカオ

昭平の言葉に顔を見るけれど、いつものようなバカにした顔ではなく、呆れてはいるけれど少し心配している顔。


まあ、そりゃ心配もするか。

千恵子と昭平には、付き合いが長い分昭平には特にめいわくかけっぱなしだから。


中学から付き合っている二人と一緒にいることに、何も思わない訳じゃない。

私が出来ないことをいとも簡単に成し遂げる二人を羨ましいなと思うキモチもある。


だけどそれ以上に感謝だってある。

ふわふわゆるゆるの優しい千恵子に、口は悪いけどしっかり者で面倒見のいい昭平。

端からみてても釣り合いがとれててお似合いだしね。


「そろそろ帰ろうか」


千恵子の言葉にうーっと背伸びしてベッドから体を出した。


うん、倒れたけど大丈夫そうだ。ちょっといつもよりも脈が速いような気がするけれど。


まあ時期収まるだろう。


そう思って制服のネクタイを少し締めてから、いつの間にか脱いでいた上着を羽織った。


そう言えば告白したのがお昼休みだったけど……帰ろうか、ということはもう放課後なんだろうか。


「結構寝てた?」

「大分寝てた。保険医が救急車呼ぶかどうするかすげえ悩んでた」


だろうなーと思ってため息が漏れる。

そんなことされたら一躍有名人になってしまう。

廊下で告白した時点でおそらく理系コースでは有名になったかも知れないけど。
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