致死量カカオ
「体調悪いのか?」
まあ、それは常に。
貴方と付き合いだしてからマシな体調になったことはないような気がします。
今日は特にだけれど。
身の程知らずな感情が私の心を支配して、いっこうになくならない。何度も何度も忘れようとそんなこと気にすることがそもそも図々しいんだと思っているのに。
裕子さんとお昼を一緒に食べるのかなとか。
裕子さんは高城を好きなのかなとか。
だったら私なんか寄りもずっとずっとキレイで一緒に居る時間も長い祐子さんの方がいいんじゃないかとか。
そんなに一緒にいるだけで、高城にとっても彼女はすごく特別な人なんじゃないかとか。
お昼に見かけた高城の笑顔さえも黒く塗りつぶすような感情が、私の体を蝕んでいくみたいなんだ。
高城の顔を見て話は出来そうにないので心の中で会話を続けた。顔を見れたところでこんなこと言いたくないけど。
口開けたら体から黒い何かが吐き出されそうなんだもの。
吐き出したいけど。ここでまたやってしまうわけにはいくまい……。今更かも知れないけど。
好きな人には可愛く見られたいじゃない!
それこそもう手遅れかも知れないけど!
「とりあえず、帰るか」
はあっと小さなため息が聞こえた気がした。