致死量カカオ
「一人で、大丈夫……」
言葉が出ない俺に気を遣いつつも豊海は視線を逸らして小さく呟いた。
そして俺の返事を待つこともなく、逃げるようにバス停に向かって乗り込んでゆく……。
なんなんだよ一体。
自分で言うのも何だけど。
一緒に帰りだした時はまだあんな感じでもなかったと思うんだけど?なんなんだよ急に。
俺に触れられるのがそんなに嫌かと責めたくなる。
なのに自分が傷付いた様な顔をしているから余計に苛立つ気持ちが募っていく。
……さっぱり意味がわかんねえ。
俺が何をしたって言うんだ。
俺にしては今までにないほど結構気にして隣を歩いていると思うんだけど?
むやみに触れないように。
いや、1回はからかってみたけど。
だけどそんなにひどくなかったじゃねえか。いや、鼻血は流し続けてたけど。
「……自信ねえー」
自分が、このままの状態であいつと付き合っていくことに。
だけどあいつと付き合っていくことそのものに対しては思わなかった。