致死量カカオ
■
恋愛には向かないのだと、俺が自分でなんとなく自覚したのは一体いつ頃だっただろうか。
認めたくはないけど。
「高城は人に興味持たないからわりいんだよ」
隣にいた宮木が机の上のプリッツにかぶりついてばりばりくっちゃくっちゃ鳴らしながら俺に告げる。
「うっせーな」
別に興味がない訳じゃない。と、思う。
興味がなんなのかがよく分からないのかも知れないけれど、付き合うときにはそれなりに気に入ったから付き合っているのだ。
付き合っているときだってそれなりに可愛いなとか抱きしめたいなとかだって思うし、愛情だってあるんだけどなー。
何で俺が振られるんだ。いつもいつも。
お決まりの台詞はもうお腹いっぱいだ。
――高城君って私のこと好きじゃないよね。
好きじゃない訳でもない。好きかと言われると分からないのは正直な気持ちだけど。
好きだと思っていたのにそう言われるから分からなくなっているんだけど。
「俺誰にも愛されないんじゃねえのかなー」
「あはは、お前ふざけんなよ?」
机に頭を置いて呟くと、さすがに宮木にお菓子の箱で頭を殴られた。
気がついたら俺は女の子に告白されることが多かった。その中から付き合うことを始めたのは中学くらいからだったと思う。
可愛いな、と思った女の子に返事をして「恋人同士」になって浮かれていたのはほんのわずかな時間だけだった。