致死量カカオ
「……ちゃんこ鍋……」
自分の声にふと疑問を感じて瞼がふわりと浮いた。
白い天井だ。ちょっとシミが多い気がするけど白い。グレー?いや、クリーム色?いや、やっぱり白かな。
天井と数秒会話してから、ゆっくりと目を左右に動かした。
最近よく見る保健室よりも薄暗い室内は、見覚えがないように思う。
……どこだここ。
とうとう天国か。
なんだよ天国。あんまりきれーじゃないじゃん。死ぬわ薄汚れてるわ天国いまいち。
「気づいたか」
ぼけーっとしたまま状況把握する私の耳に、素敵な声が届いた。
神様か天使の声がこんなんだったら天国でも死ぬかもしれない。
だって高城の声によく似てる。
「おい」
「……はい!?」
二度目の声に、思わずがばりと起き上がった。
「……た、かぎ?」
くらっと一瞬頭の中が揺れて、だけどそんなこと気にすることなく隣を見て見れば……パイプ椅子に座った高城の姿が目に飛び込んできた。