致死量カカオ
「別れたんだって?」
情報が早いな。
そう思うと何故だかわらけた。
じゃあきっと学校でも噂になっているんだろう。学校のアイドルになれたのも数日だけだったな。
「まだ体調悪そうだけど、今日来て大丈夫かよ」
「これ以上休んだら勉強も出来ないのに出席日数も危ないじゃない」
「それもそうか」
私の言葉に昭平はいつものようにちょっとバカにした様に笑った。
「……高城に聞いたの?」
「昨日ね、豊海が休んでるから。たまたま見かけたときに声かけて聞いてみたら」
その言葉の続きは昭平から聞かされることはなかった。
だから敢えて私も聞くことはしないで「そう」とだけ返す。
聞かなくても大体分かる。
知らないとでも言われたんだろう。
……別れた相手のことなんか知るはずもない。
三日?四日?短い付き合いだったな。高城の中で最短記録を樹立できたんじゃないだろうか。そう思うとちょっとだけ嬉しく思う私はすごくバカだ。
そんなことで記憶に残ることを喜ぶなんて。
「で、何でまた」
「……このままだと黒くなって死ぬから」
幸せな気分でなんて死にたくない。
だけど黒くなって死ぬのも嫌。
好きだから、このまま死ぬなんて考えられない。そんなのそれだけで悲しい。
死んだら意識なんかなくなるじゃんとか言われたってムリ。