致死量カカオ

「聞いてる?」

「……聞いてない」


理恵の言葉に素直にそう返すと、理恵は「相変わらずね」と苦笑を漏らした。


「お前さー俺と付き合ってるときどんなんだった?」

「何それ? より戻す?」

「もどさねえよ。冗談じゃない」


さすがにここまでバカ正直に言葉にすると、肩をバシリと叩かれたけれど、その後理恵は「えーっとね」と俺の質問を考える。


「考えていること分からなかったよね」


……俺からしたらお前らの方が分からなかったけど。

さすがにその言葉は飲み込んで、理恵の続きの言葉を大人し待つ。


「優しいのか何も考えてないのか。あれしたいこれしたいあれいやこれいや、って言ってもわかったそうかで終わるじゃん。

何を考えているのかわからなくて不安になって、結果的に一緒にいてつまらなくなるんだよねー」


お前、それさすがに俺に失礼じゃねえのかと言いたくなる……。仮にも告白した相手をそこまで言うかお前。


でも、言われたって仕方ないことくらいは分かってる。じゃあ何が悪かったのかなんてことはわからないけど。


今もわからない。
だけど昔のことが分かったところで今の自分のことがわかる訳じゃない。


豊海は今までの女と違うし。
俺だってきっと違う。
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