致死量カカオ

「で? どうしたの急に。そんなこと聞くなんてらしくない。別れた彼女に何か言われたの?」

「何も言われてねえよ」


何も言われてない。
だからこそ意味が分からない。

好きだって言ったのに、好きだって今だってそう全身で伝えてくる癖に……。


「ムカツク」


ばかばかしい。

告白してきてぶっ倒れて、それでも好きだと口にして、そのくせ近づいたら離れて行くなんて。


「落ち込んでるなら遊びにでも行く?」

「そんな気分じゃねえよ」

「別れたら素っ気ないところは変わらないなあ。振られて後悔するなんてことないでしょ?」


後悔なんて何をするんだろう。

返す言葉が何もなく、理恵の言葉を無視するように何も言わずに学校へと向かう。

その間、後ろにいるだろう豊海の方に顔を向けることは出来なかった。


その理由は分からないけど。


だけど体中の神経は全て、背中に集中して妙に落ち着かなかった。
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