致死量カカオ



「今日も機嫌絶好調?」

「うるせ」


教室に入ると、既に席にいた宮木と沢田が俺の顔を見るなり苦笑混じりにそう告げる。

絶好調なわけがない。そんなの顔を見たら一目瞭然だろう。それを分かって口にしてるんだろう。


「豊海ちゃん今日も休み?」

「……朝見かけた」


鞄を机に置いて腰掛けると、近づいてきた宮木の言葉に素っ気なく答える。


「話してないのかよー」

「何するんだよ。話することなんかねえよ」

「……いっぱいありそうな顔して」


俺の言葉に呆れ気味な顔をして、あからさまなため息を吐き出した宮木に何も言わないまま俺も同じようにため息をついた。

確かに言いたいことはたくさんあるような気がする。
だけど何を言いたいのか分からない。

豊海の顔を見るとなおさら。


逆にひどいことばかりを言いそうになる。


「高城ー。女の子—」

「情報早いなー」


ドア付近からクラスメイトに呼ばれて顔を上げると、俺より先に振り返った宮木が笑う。
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