致死量カカオ

「彼氏なんだから迎えに行けば?」

「はあ?なんで俺が」


そもそも彼氏なのか?

振れって言われたけど?なんかそれもおかしくね?そう言えばあの女の名前も知らないっていうのに?

意味が分からないんですけどー?

はあっとため息を零しながら括っていた髪の毛を一旦ほどいて括り直す。


ふと窓に視線を移すと、裏庭にあるベンチでホームルームまでの短い時間でさえも一緒にいたいのか一組のカップルが笑い合っている。


……青春って感じ。


つきあい始めからあんな風にできない俺はやっぱりどこか恋愛には不向きなんだろうか。


あんなバカップルになりたい訳でもないけど、だけどちょっとくらいキモチを感じてみたい。


いつも一緒じゃないと嫌だとか。
いつも触れあっていたいとか。
他の人と仲よくしないでとか。


……でもそんなのされることを考えればめんどくさいことこの上ない。


「恋愛ってめんどくせ」


ぼそっと呟いたと同時に教室のドアから担任がやる気なさそうに入ってきた。

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