致死量カカオ



「いいの?このままで……」


日に日にげっそりとしていく私を見て、私よりも少し遅れて教室に入ってきた千恵子は少し驚いてからそう告げた。

食べることは出来るのに、食べても食べても高城のことを思い出すだけで一気に吐き出してしまう。

もったいないから吐きたくないのに……。

そのせいで美味しい物を食べるのも躊躇してしまうようになってしまった。


「……だってこうするしかないじゃない……」


どうすればいいのか逆に教えて欲しい位なのに。

私のすっからかんの脳みそじゃこの方法しか思いつかなかったんだもの。もうちょっと味噌が詰まってたら他の方法を考える事が出来たのかな?

それともそもそも好きな人なんか作らないように出来たのかも知れない。


「バカだなー豊海は」


心配そうな顔を見せる千恵子の背後から、いつものように飄々とした顔の昭平が顔をひょっこりと現す。

この顔を見てたら本当に心配していたのかと疑問になるけどね。


「どうせバカで脳みそすっからかんの空洞ですよ」

「そこまで言ってないけど、そこまで自覚あるならまだよかったね」


どういう意味だろう。
どう考えてもバカにされていると思うんだけど……。


「朝の時間まで変えて……そういうことは頑張るのに何で別のところで頑張らないかなー」

「どういう意味よ」
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