致死量カカオ
「触れて、嫌われるかも、なんて俺だって考えるんだけど?
だけどだからって、触れたい気持ちは気持ちは無くならないし、触れるけどな」
ぐるぐると目の前が回る。
なんだかよく分からないけど……。
気持ち悪いとかじゃなくて多分、私のキャパオーバー。理解がついて行かない。
だってそんな事言われても。
嫌われるのと死んじゃうのとどっちがいいのかとか分からないし。
「悪い事ばっかり考えてたらきりがねえじゃん」
私の頭が理解出来ないことを分かったのか、そう告げて昭平は「ま、がんばれば?」と適当な台詞で最後を占めてから背を向けた。
悪い事ばっかり考えてたって仕方ない。じゃあ何を考えればいいんだろう。
誰だって何かしら私みたいに逃げたいとか思うの?
「豊海?別にムリして直ぐに答え出さなくていいからさ……だから、ムリして我慢もしないでいいんだよ?」
私と昭平の会話を傍で聞いていた千恵子が、優しい声を掛けて私に微笑んだ。
「……千恵子も、死にそうとか、そんなこと思うの?」
「んー……それはさすがに……ない、かな?」
まあ、そうですよね。
私の言葉に千恵子は思い出しながら少しだけ天井を見つめる。
私からしたら昭平と千恵子は何も問題がないみたいにみえるんだけど……。仲も良いし、何も問題ないじゃん。私だったら毎日バラ色。