致死量カカオ
本当に死ぬなよ。しかもこんな事故で。こんなことで死ぬんじゃねえよ。死ぬなら宣言通りアレルギーで死ね。
ふざけんなと怒鳴りたい気持ちをぐっと堪えながら豊海の体を無理矢理起こした。
「ご、ごめんなさい」
「ホントにな」
さすがに申し訳ない顔をして俺を見てくる豊海。このまま頭を叩いてやろうかと思う。なんとなく。
本当に人を振り回すだけ振り回してくれるよな。
俺を呼んだような気がしたんだけど……なんて聞いても今のこいつにはろくな返事はしなさそうだし……。
腰を上げて向かい合わすと、豊海は一気に状況を把握したのか真っ赤な顔をし始めた。
また倒れるんじゃないだろうかと思うほど。
その顔を誰にでもするのかと思うと悪態をつきそうになってぎゅっと唇を噛んだ。
ここで悪態なんかついたら今まで避けた意味がない。
「あ、あの……」
「なに……?」
豊海は目の前でスカートを握りしめながら少しだけ顔を下に向けた。
それでもわかる顔の赤さ。
落ちる髪の毛の隙間から見える耳まで真っ赤に染まっている。
……なんなんだよ。
まるで告白してきたときみたいじゃねえか。
「あ、あの、あの、え、あ、う」
「……日本語しゃべって?」
相変わらずだな。