致死量カカオ

「かも、しれないけど、でも、頑張るし……」


「とりあえず、鼻血流れてるけど?」

「ぶひゃ!」


ぐいっと豊海の鼻を押さえて軽く上を向かせる。

さっきからたれてたんだけど必死だったから邪魔しちゃ悪いかなと思って……。


「あ、あの……」

「何?」


俺に鼻をつままれながらも、豊海はためらいがちに俺を見て言葉を口にする。

とりあえず鼻血出されるとこっちも気になって集中できないから止めてくれねえかな。


「あの、私の、えと、あの、返事……は……」

「あー……ふざけんなよ?ってところかな……」


俺の言葉に豊海が一瞬体をびくりと跳ねさせてから一目でわかるほどがっくりとうなだれた。


いや、でもそうだろ?

嫉妬されていたことはともかくも……何で勝手に一人でやめるとか言い出してるんだよ。

俺の気持ちも聞こうともしないで。


「ほんと、勝手……」


はあーっとため息をつくと、目の前の豊海が鼻を詰まらせながら「すいません」と呟いた。

まあ、ろくな日本語にはなってなかったけど……。
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