致死量カカオ
「ああ、致死量に達してしまいそう……。ほんと無理、やっぱこれ以上無理。今日は無理。
やっぱまだ早いし……お父さんも泣くかもしれないし……お母さんとか式場探しそうだし……」
「早いのはお前の妄想の展開だろ。
んだよ致死量って。お前全然頑張ってねえじゃねえか」
頑張ってるけど!今自分の足で立って歩いているんだから!大分すごいことだと思うんですけど。
今までだったらもうこの時点で救急車呼ぶ羽目になってると思う。告白の時点で多分心臓ぴたーって止まったと思う。
「ときめきが致死量に達したら本当に死ぬかもしれない!そんなの嫌なんだってば!」
「致死量ねえ……」
ぜーぜーと反論すると、高城はぴたりと足を止めて……そして私の視界を真っ黒にさせた。
「……ん?」
「なあ?毒って……」
何だろうか。
目が、多分高城のもう片方の手によって覆われているのだろう。何でこんなことをされているのかわからないけれど……。
視界はほぼ真っ暗。
「何……?」
そう、言葉の続きを求めたとき。
唇から柔らかい何かの感触が伝わってきた。
暖かくて、柔らかくて、今まで感じたことのないもの。
な、に?
っていうか……。
ま、さか?