致死量カカオ

……きっとすごい緊張しているんだろうなあ。
確かに、分かりやすいと言えば分かりやすいけど。


「委員会終わったのー?」

「え!?あ、はい!」

にこりと微笑みながら声を掛ける沢田に、豊海ちゃんは顔を真っ赤にする。


「たまには俺らとも遊ぼうよー」


ソレに乗っかる宮木。

多分赤くなってパニックになる豊海ちゃんが面白いんだろうなあ。わからないでもないけれど……。

すぐ真っ赤になって必死になる豊海ちゃんは、カワイイ。隣に並んだ豊海ちゃんににこりと微笑むと、ぎこちなく笑った顔も、かわいいと思ってしまった。


一見普通の女の子だけど、全身全霊で感情を表に表してくるんだからいじりたくなってしまう気持ちは女の私だって感じちゃうくらいだもの。


「おーまーえーなあ」

「ぎゃああああ!」


びくっとするほどの声に、私と宮木と沢田が一瞬仰け反る。

教室から廊下に居る豊海ちゃんの両頬を思いきり抓る高城、そしてその痛みに叫び声を上げる豊海ちゃん。


「ちょ、ちょっと!?」


これだけ叫ぶってことは……相当痛いんじゃ?一体どれだけの力で抓ってるのよ!女の子、しかも彼女相手に!


「お前はーすぐ赤くなってんじゃねえよ! この浮ついた心どーにかしろお前は」

「いたいいいたいいたいいたいー死ぬー!!!!」

「死ね」


いやいやいやいや、あんたら何してるの!?
あっけにとられる私をよそに、宮木達は見慣れてしまっているのか、もしくはこれを狙っていたのかケラケラと笑い続けていた。

ひ、ひどい。最低。
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