致死量カカオ
声とか、小さい背はかわいいと思うけど。それくらいしか知らないし別にどうでもいい。
そういえばろくに顔もちゃんと見てないかもしれない。
「高城」
背を向けた瞬間に呼ばれて振り返ると、昭平が俺を見てにこりと微笑んだ。
なんだよ。
「豊海は、チョコレートアレルギーなんだ」
「はあ?」
なんだそれ。
そんなものあるのか。
……っていうかだからなんだ?
さっきチョコレートの話してたことと関係してるとか?だから体調が悪かったとでも?
いや、それでもだから俺となんの関係があるんだよ。
「だからなに?」
「豊海にとって、君も、チョコレートらしいよ」
「はあああ?」
さっき以上に意味のわからない言葉に、眉間に思い切りしわがよったのが自分でもわかる。
俺がチョコレートなわけないだろ。ばかじゃねえの?何?食べられるとか?俺が?
食べれねえよ。
「意味わかんね」
「もしも、本気で豊美を好きになったら相談に乗ってあげるよー」
余計なお世話だよ。
ならねえし。
あんな女に執着する理由も必要もねえよ。
今のところは。