致死量カカオ

「ちょ、昭平?」


隣の女の子が焦って昭平の腕を引っ張るけれど、昭平は気にすることなく「じゃ」と笑顔を向けるだけだった。


この男何考えてるんだろうか。

さっきはあの女が死ぬからやめてくれといっていたのに。変な男。

変な女の周りには変な男がついてくるのか。

理解ができないまま男に背を向けて保健室を後にした。


どんどん腹が立ってきた。
何で俺があんな男に馬鹿にされないといけねえわけ?


告白してきたのはあの女だって言うのに何で俺がよく知らない男にあんなことをいわれるのか意味がわからない。

わからないことばっかりだ。


馬鹿にされてるのか?あの女にも。

死ぬっていう意味が未だによくわからないし、チョコレートがなんなんだか。チョコレートアレルギーってなんだんだ。しかも俺がチョコレートって。

頭おかしい。あいつら絶対おかしい。

気になるのは事実だけど。

だけどもう絡まないほうがいい。

今まで知らないことと制服のバッチを見たところ多分普通コースの奴らだろう。

意識しないと出会うこともない奴らだ。

「あーくっそ」

このまま保健室によらずに帰ればよかった。


あの昭平の顔を思い出すと無性に腹が立つ。そりゃお前のほうがあの女のことを知っているだろうけど、知らないからってなんであんなふうに話されなきゃいけねえんだ。


「チョコレートかって帰ろうかな」

あんな話を聞いたらチョコレートが食べたくなってきた。むしゃくしゃしてるし余計に甘いものが食べたい。
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