致死量カカオ
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よく晴れた空が光を照らして、体全体からじわじわと汗を浮かび上がらせる。
夏は終わったはずなのに未だに暑いんだからやってらんねえ。早く涼しくなればいいのに。
「ういーす」
宮木の声に軽く後ろを見ると、朝っぱらから元気そうな宮木が小走りで俺に向かってきていた。
「おう」
「で?昨日はどうだったわけ?」
しょっぱなから見事に思い出したくもないことを言ってくるなお前は。
「しらねえ。俺の顔見てそっこうトイレに駆け込んだからな」
「まじで。吐くほどお前のこと好きなわけ?」
げらげらと笑う宮木の言葉に「は?」と返す。
吐くほど好きって……なんだそれ。
そういうとり方もあるのか?いや、ないか。なんだよ吐くほど好きって。そんなの聞いたこともねえよ。
緊張とかそういうこと?
「どーでもいいよもう」
ちょっと考えてみたけれどやっぱりよくわからない。考えるのも無駄なような気がしてきた。多分あの女地球外生命体なんじゃないかな。
別にあの女に執着することもない。
ただ今のまま、よくわからないままっていうのはやっぱりどこか気持ち悪いんだけど。
何でこんなことを気にするのか。わからないならそのまま終わらせることも出来ないこともないのに。