致死量カカオ
「豊海、お前また変な妄想してるだろ?」
昭平のうんざりしたような声が聞こえて振り返れば、呆れ気味の昭平が顔をしかめていた。
「うるさいなー妄想くらいいいでしょ?」
「妄想して死ぬかもしれねえから言ってるんだろ。
妄想だけでぶっ倒れたお前の救急車の手配する俺の身にもなれよ。お前の心配で俺まで寿命が縮む」
そう言われるとこっちはもう何も言えない。
「わかってるよ……」
ぶくっと頬を膨らました私の頭を昭平がぽんぽんっと撫でる。なでる?叩く?
どっちにしても慰めているのだろうとは思う。私が倒れる度に心配して、私が落ち込む度に慰めてくれたのは昭平だ。
そのわりに自分だけちゃっかり彼女を作ったのは赦せないけど。
こんな体質ならいっそ男性恐怖症とかそういう体質も兼ね備えて欲しかった。
「まだ体調悪いだろ?」
「うん、吐きそう」
「吐くなら俺から5メートル離れたところで吐けよ?知り合いだと思われたくない」
優しいんだか冷たいんだか分からないなあんたは!
未だに中学の時昭平の胸にリバースしたときのことを根に持っているとしか思えない。