致死量カカオ

「でもとりあえず豊海、高城にちゃんと話したほうがいいんじゃね?

一応気にして保健室まで来てくれたわけだし。一応返事はオッケーだったんだろ?

このまま付き合えないんならちゃんとしねえと、お前も体調悪いだけだぞ?」


そんなこと分かってるよ。わかっているけど今、高城の顔を見たら絶対ぶっ倒れる。


あの顔を思い出すだけで息苦しいんだから絶対悪化してる……。

顔を見て話をしなきゃいけない、そう思うだけで寿命がどんどん縮んでいくのが自分で分かる。


「おはよ、豊海、昭平」


沈んだ気持ちに似合わないほどの千恵子の明るい可愛い声が届いて昭平が「おー」と返事する声が続いて聞こえた。


「あれ?豊海まだ調子悪いの?」

「ご覧の通り絶不調です」

片手だけを軽く上げておはようの返事をすると隣に並んだ千恵子が私の顔を覗き込んだ。


「今回はひどそうだねえ……」


そう言われても仕方ないほどに私の目はうつろだと思う。

助けてーと言いたげに千恵子に抱きつくと、昭平が後ろで「千恵子だけは好きになるなよ」と告げた。


ならねえよ。
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