致死量カカオ

そうだ。別に何も意識何かしてなかった。

気がついたらいつもと一緒の時間の電車に乗ってしまっただけ。私はバス通学、そして高城は電車通学。

バス停は一緒だけでこうやって学校までの道のりで姿を見かけることしかできない。

それだけのことで……。


「あ。気持ち悪い……頭痛くなってきた……」


姿を見つけてしまったことで一気に状況悪化だ。

ふらふらと真っ直ぐに歩くことも出来ず道の端に寄って手を誰かの家の塀に付けた。


ああ、頭が痛い。
体の血液がばっくんばっくん音を鳴らしながら流れて行くみたいに頭に響く。

収まれ収まれ。


そう願ってもいっこうにマシにならないのは、この排除不能な感情のせいだ。


顔を下に向けながら、ちらっと高城の方に視線を移すと、三人は仲良さそうに話をしている。

真ん中にいるのはいつだったかそこまでわからないけど、高城の彼女だった人だ。


二人が並ぶ姿を見たときは今までの彼女の中で一番お似合いだと、胸が痛むほど憧れた人。

アレで同い年だって言うんだから世の中不平等だ。

あの彼女とだって結局一週間程度しか付き合ってなかったけれど……。


あんな美女でも一週間って……。私だったら一時間も満たない間に振られるんじゃないの?

あ、もしかしてあの「付き合う」はもう終了したの?なにそれ悲しい。
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