致死量カカオ
遠目から高城を見ていると、昨日の告白する前に戻ったみたいで気持ちも少し落ち着いた。
胸の苦しさは残るけど、ちょっとチョコを食べすぎてむかむかするくらいのもの。
「かっこいいなぁ」
やっぱり好みすぎる。見てるだけで蓄積されるチョコレート。見てるだけでときめいて、それだけでいつかきっと致死量に達するだろう。
甘いチョコレート。
なのにちっとも優しくない。
見えないように見えないように隠してしまえば断ち切れるかなあ。ダイエットみたいな感じで。ダイエットなんか成功したこともないけど。
見てるだけで良かった。
それだけで充分の毒性はあったけど……だけどこのくらいは何ともなかったはず。
目の保養だ。
そしてちょっとの妄想。
「あのこらしいよ?」
「マジでー?私ももっと早く告白すれば良かった」
背後でひそひそと声が聞こえて振り返ると、ドアの付近で数人の女の子が私を見て指をさす。
知り合いだっけ?
そう考えてみたって何一つとして記憶は蘇らない。知らない人だ。
多分。
自分の記憶力は全くアテにならないから確信には至らないけど。