致死量カカオ

「お前も彼女の心配してやれよー」

「え……!あ、や……」


高城に視線を戻して話しかける男の子を思わず慌てて止めようとするけれど、高城は友達の言葉に「んー?」と曖昧な返事を返すだけ。


彼女じゃないと言えば良いのに言わないのはなんでだろう。とか考えるのは自意識過剰かなあ。


もしや本気で私に一目惚れしたとか?

前から私を好きだったとか?

入学式に私を見かけて気になっていたとか?


高城はちょっとめんどくさそうな顔をして、頭をぽりっと小さくかいて私を見た。


視線の先に自分が移っているのだと思うとそれだけでぶっ倒れそうだ。ふわりと足下が揺れた気がした。これもしかして夢なのかな。それなら納得出来る程の今の奇跡。


綺麗な目だ。睫も長い。

一瞬無愛想な雰囲気なのに、だけどどこかただ不器用なだけ何じゃないかと思う優しい瞳。

あーもうやっぱり別格だ。
友達二人がどんなに格好良くてどんなに妄想でドキドキしても……目の前の高城には敵わない。

いるだけで、それだけで妄想なんかの100万倍の威力。心臓鷲づかみ状態だ。


「あー……大丈夫?」


ほら、やさしい。
ほら、はい、私の理性終了。


ぐわん、と視界が反転した瞬間、私は半笑いだったんじゃないかと思う。
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