致死量カカオ
「彼氏だったらついてろってあいつらに言われたんだよ。ったく。
まあ、残りの午前の授業さぼれたからいいけど」
「か、かれ、かれ、かれれれれれ」
「日本語しゃべってくんねえ?」
自分ではしゃべっているつもりなんですけれども……。
恥ずかしさとなんかもうパニックだ。ていうか、ぶっ倒れた原因が高城にあるって言うのになんで昭平や千恵子はなにも言わずにこのままにしたんだろう。
もしかして二人は私に死んで欲しいと思っているとか?
まっさかー。
「で、体調は?」
「……はあ、えと、なんとか生き延びました……」
高城の顔を見ることが出来なくて、俯きながら手元の布団を両手で握りしめる。
落ち着け。落ち着け。
ここにいるのは高城じゃない。
ここにいるのはしゃべるかかしだ。
目がぐるぐるまわりそうになりながら必死で布団の柄を見つめた。
「お前、人の顔もみれねえのか」
「……はあ」
見たくても見れないんです。