致死量カカオ

……友達がいるってことはまあできるんだろうし、さっきも宮木達とはそれなりに普通に話していたか。


何で俺の前でだけこんな死にそうなんだか。


「名前……」


名前がどうした。


「名前……」


うわごとのように呟きながら、さっきと同じように口からぼとぼとと落としていく異物……見てる俺まで吐きそうだ。

しっかり洗面器の中に落としているからまだ理性はあるみたいだけど。


「あの……」


大丈夫かよ本当に。人としてまず大丈夫かこの女。


「お願いしますーーー!!!」


本当はもう死んでいるんじゃないだろうかと手を伸ばした瞬間、目の前の豊海は勢いよくベッドから飛び出して、しかも洗面器は持ったまま――そして……。


「私が高城を嫌いになるほどに罵って下さい!」


そう言って、俺の足下に、土下座、した。


……嫌です。マジで。俺ノーマルなんで……。


「ちょっとまてちょっと待て、何だよお前は」

「もう本当に、このままだと死んじゃう!」

「だから、ちょっと落ち着いて俺にちゃんと話せ!」


意味が分からないんだっていってんだろうが。人の話を聞けよこの女。マジで蹴り飛ばすぞ。
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