致死量カカオ
「お前、もしかして惚れちゃった?高城の彼女にほれちゃった?何これ修羅場?なにそれおもしろいじゃん」
「お前はちょっと黙れ」
宮木の楽しそうな顔面に手を押しつけて、再び視線を沢田に戻して「え?何が?」ともう一度問う。
……何をそんなに気にしているのか自分でもよくわからないんですけど。あれか。言っている意味がわからないからか、そうだ。そうに違いない。
「いや、別に惚れるとかないけどな。心配しなくて良いから、そんなんじゃねえよ?」
そんな心配してねえ。
「でもぶっ倒れる前にちょっと話したけど、すぐ真っ赤になってへらっと笑う感じとかはなんかかわいいんじゃね?
すぐ動揺するところとか、支配欲とかなんつーの?守ってやんなきゃみたいなの生まれる感じはあるかもなあって」
そんなもん生まれねえけど?
っていうか。
俺あいつのそんな顔見たことないし。
出会ったのも昨日だし。
今日昼まで一緒にいたけどほぼ寝てたし、起きてもそっぽ向いて、こっち見たかとおもったら半泣きで戻してたしな。
「……ふーん」
そんな話聞いたら俺じゃなくて沢田のことが好きなんじゃねえの?って思うけど。
「何その顔。ちょっとむすっとして。何?嫉妬しちゃったの?やっぱりそれ嫉妬?」
どうでもいいけど誰か宮木を黙らせてくれないか。こいつの口の中に腐ったリンゴでも押し込めてやりたい。
マジで黙れ。